忌明けの返礼品は、あくまでも忌明け後に贈ります。中陰の期間中、魂は御霊のままですが、7回目の七七日忌(77日)の法要がすむと、御霊は家からいなくなり、よその家にはじめて訪問できます。また、書状にも「忌明け法要がすみ」という一文を入れ、報告するという意味もあるので、忌明け後間延びしない程度に贈ります。「祝事は急いで不幸は急がず」です。五七日(35日)で法要をすませてしまったので、この日以降に贈りたいというケースもあるでしょうが、七七日(49日)が本来の忌明けであり、これは現世の家族の都合でしたことなので、やはり七七日で贈るようにします。ただし地域や宗派によっては57日で忌明けとすることもあるので、その場合はこの限りではありません。香典のうち高額な部分のほとんどは親族からのものです。親族同士の相互扶助的な意味合いが強いので、返礼品の額は親族として気持ちが伝わる程度でいいはずです。外部の方は今後のお付き合いもあるので、半額から3分の1でいいと思われます。それ以上の金額でお返しするのは、かえって礼を欠くことにもなります。商品券で返したいという人もいますが、金額がわかってしまうし、生々しいので身内以外は避けたほうがいいでしょう。
日本では、かつてはある程度の地位がある方だと「ご縁があるように」ということで五百円札と五千円札を必ず用意なさっていらっしゃいました。縁起かつぎの意味も込められているのですね。いまは、そういうことをなさるのは、ごく一部の限られた方だけになってしまいましたが。それでもときどき「大変お世話になったので、お礼をしたい」と、わざわざ五千円札だけを用意なさっている方もいらっしゃいます。とくに結婚式などでは、主催者から主賓の方たちに「お車代」としてお金を渡す場合などは珍しくありません。こういうときは、新札を小さな内袋に入れてお渡しするのが礼儀です。袋の表書きは「お車代」とし、自分の名前も忘れず書きます。この頃は、お札に無頓着な方が多いようですが、おめでたいことならシワのない新しいお札を使うようにします。そのほうが、いただく側は気を遣っていただいていることが感じられ、新たな第一歩を歩み始めるという気持ちになるわけです。披露宴に招待された方がご祝儀を持っていくときも同じで、新札を使うのがマナーです。
日々の暮らしで、相手に感謝の気持ちを伝えるシチュエーションはさまざまあります。スカーフを落としたことに気づかない女性を追いかけて渡しかところ、振り返りもせず、お礼も言わず、会釈もせず、ただ受け取ってさっさと立ち去られてしまったことがあります。親切は、別にお礼を言って欲しくてやるわけではありませんが、お礼のひと言もないと、なんとなくすさんだ気持ちになります。×「どうも」△「すみません」「どうも」は、「何も言わないよりは」のレベルで、感謝の気持ちが十分に伝わるとは思いません。「すみません」はよく使われますが、「ありがとう」の意味以外にも「お願いします」「ごめんなさい」の意味でも使われる多用語ですので、間に合わせという印象が強くします。○「ありがとうございます」○「たいへん恐縮(感謝)しております」○「お礼(感謝)申しあげます」○「おかげさまで、□□することができました」言葉を省略しないで、笑顔でこう言ってみてはいかがでしょう。